支部の活動

2023年2月　作品

一木　孝男　　一幹　盛人　麻紗　篤樹　純栄　恵美子　佐恵子　富美子

暦日下町句会

一木　一木

冬桜賑わいも無くも盛りかな

冬枯れの小路を誘ふ香気かな

雪雲や黒き鞄のの配達夫

どの家も花を咲かせる春の朝

春愁の向こう岸から手を振られ

道山　孝男

春立つや素直に伸びる物の影

薄氷の溶けて青空広がりぬ

春愁ひホモサピエンスなればこそ

言ひ訳の術のひとつや春の風邪

バレンタインデー零度のままの温度計

萩庭　一幹

次の代を信ずるに足る冬芽かな.

春愁ひ一樹へ影を凭れけり

都鳥鳴き惜しみゆく訃のありぬ

一輪へ焦点合はす探梅行

冴え返る余白に印の捨て処

原　盛人

水仙や金杯銀杯天にこゑ

薄氷や鯉は戦艦大和かな

菜の花の咲きしところへ今日もき来し

春むなし解決出来ない拉致のこと

心身のともなわきや春愁

渋谷　麻紗

下校子等の明るき声に春立てり

春愁や眼の細き埴輪像

仕事終え哲学堂に梅探る

風に乗り山おりて来し雪女郎

寒星や芸に生きたる綾女逝く

柳　篤樹

毛筆の便り途絶へり冬銀河

寒晴れや山並み低く安房上総

園庭の親子三代どんど焼

貝塚の積層断面彼岸西風

春愁や飛行機雲の崩れ様

松田　純栄

(綾女を悼む)春愁や叱られしことなつかしく

雪の駅降りたてば吾も雪女郎

師の忌なりバレンタインのチョコ苦し

雪吊の弦弾きたがる雪女

薪ストーブの焔に誰彼の生死かな

遠藤　恵美子

蠟梅が咲く志解樹の句諳んじる

春を待つ欅大樹の実は旅へ

初詣産土神に逢ひにゆく

冬の海のぞむ水軍奉る寺

綾女さんの思ひ出尽きず春愁ひ

飯塚　佐恵子

干からびし感性に喝冬木の芽

山のいづこ母熊子熊眠りをり

待春や一番星を数え合ふ

利根川の瀬に光弾けて春立てり

マスク跡残る横顔春愁

安保　富美子

春愁や鎌倉に「香」探したる

わが膝にベビーブーマーの土ひひな

ヴァイオリンの余韻とどめむ春の雨

生家なきふるさとにをりたびら雪

匂はせて匂はせて雨沈丁花