なかま通信句会
2025年3月〜8月作品 月ごとに縦書きで収録(新しい月から)。横にスクロールして右から左へお読みください。
なかま通信句会 2025年8月
八月作品
8名・40句
道山 孝男
- 近すぎて見えぬお城や朝曇
- 新品のシャツを身に着け夏を追ふ
- 山男の雄叫びいづこ夏果つる
- 案件をまたも持ち越し秋暑し
- 浴衣着て昭和の人になりにけり
萩庭 一幹
- 蟬穴の乾き切つたるローム層
- 山鳩の声のはろけき盆送り
- 新生姜独酌の夜の更けゆけり
- 石庭の流紋正す土用かな
- 秋暑し鬼押出しの奇岩ども
渋谷 麻紗
- 暮れ初むる産土烏瓜の花
- 養生の芝に紛れし文字摺草
- 心太すするや夫の亡き暮し
- 涼新た温泉宿の下駄の音
- 秋暑し極彩色の中華門
柳 篤樹
- 風鈴や余韻遮る風一陣
- 秋暑し終日地震注意報
- 恙無く今日も慣れ行く釣忍
- 陽炎の海に浮きたる海ほたる
- 川床の雨に流れの音ばかり
遠藤 恵美子
- 冷し酒むかし話の盛り上がる
- 遠き日の母の記憶や虹二重
- 山桃の実の赤赤と城の跡
- 山下りてキャンプファイヤー囲む笑み
- 雨傘で凌ぐ日差しよ秋暑し
飯塚 佐恵子
- 消印に七七七の夏便り
- しほたれて月下美人の夢の跡
- きゆきゆと鳴るサンダル路地の水遊び
- 大花火滴りて闇残りけり
- 赤々と満ちゆく月や秋暑し
松尾 龍之介
- 草いきれ空き家と知れる家周り
- 宮地獄さまの使ひの青大将
- 鬼やんま捕えて疣を噛ませけり
- 噴水の頂に満つ水の玉
- 葉桜や早退の子の後ろ影
世古 一穂
- 鴨川のみそそぎ川も干上がりて
- 灼熱を逃れて嬉し足湯かな
- 光り出す仁王のまなこ夏の雷
- 留守番の独り言めく酷暑かな
- ぴりぴりと蒟蒻炒りて大暑かな
なかま通信句会 2025年6月
六月作品(夏の部)
8名・40句
原文の見出しは「6月作品」のまま。七月・夏至・蝉時雨などの季語から、7月作品の可能性があります。
道山 孝男
- やる時は脇目も振らず蝉時雨
- 青空を広げて今日の山開き
- 可も不可もなき一日や夕端居
- 七月や風に置きたる旅帽子
- 汗ばかり掻きし人生握り飯
萩庭 一幹
- 蝉時雨乙女の祈り長かりき
- 夏草や石垣緩ぶ見附跡
- 梅雨底に埴輪二体や都市公園
- 煩悩の数の磴下り夏祓
- 泡沫は川の呟き夏至昏るる
渋谷 麻紗
- 夕凪や故郷の浜に貝拾ふ
- 蝉しぐれ高原の駅降り立てば
- 荒梅雨に降り込められし峡の村
- 夏空へみなとみらいのノッポビル
- 夾竹桃真鯉のおよぐ神田川
柳 篤樹
- ひとつづつ忘れ行く過去まだら梅雨
- 草いきれ低山趣味と呼ばば呼べ
- 夏痩せもせでのうのうと馬齢かな
- 月見草薄紅色に閉ぢて朝
- 夕凪や六甲颪轟きぬ
遠藤 恵美子
- 雲の峰うだつの町の虫籠窓
- 睡蓮の青を咲かせし和菓子店
- 菓子の銘は夏越し茶席にひとりゐて
- 遠き日の母の記憶や虹二重
- 深煎りの珈琲で待つ蝉しぐれ
飯塚 佐恵子
- 月見草殖やして友の鄙住まひ
- 掌の温み恋しき蛍かな
- 菖蒲園ひたと花殻摘む漢
- 一本の捩花嬉し我が芝生
- 飛び石は木洩れ日模様蟬時雨
松尾 龍之介
- しょつ引いて鳴らす汽笛や麦の秋
- 梅雨深し史跡出島の屋根瓦
- 懸崖に枝をひろげて菓子合歓の花
- 破れ傘西より変はる空模様
- 箸入るる一年振りの冷奴
世古 一穂
- 尾鰭つく人の噂や百日紅
- それぞれの水輪に力む水すまし
- 神主の声裏返る磯開き
- 捨て石に腰を預けて蟬時雨
- 城址に碑ひとつあり蝉時雨
なかま通信句会 2025年6月
六月作品
8名・40句
道山 孝男
- 夏近し緑さらなる公園樹
- 世の中に三日遅れて更衣
- 幾たびも雨呼び寄せる七変化
- 老鶯の声に深まる湖の色
- 青蛙田より現れ田に消ゆる
萩庭 一幹
- 紫陽花の鞠埋め尽くす路地住ひ
- 法華経の碑慕ふ夏の蝶
- 山法師炭焼窯の在り処
- 露坐仏へ泰山木の花降臨
- 睡蓮の目覚め時なる鷺一声
渋谷 麻紗
- 水無月の細き水吐く竜の口
- 花街の名残りの花か立葵
- 古書街も官庁街も梅雨に入る
- 窓越しの蕎麦屋の実梅大きかり
- 梅雨寒や駆込み寺の離縁状
柳 篤樹
- また街の本屋閉店はしり梅雨
- 梅雨じめり低くなりたる土踏まず
- 梅落とす棹やらかにやわらかに
- 拘りも捨てておしまひ衣更
- 土用芽の茶畑戦ぐ山おろし
遠藤 恵美子
- 走り梅雨追分宿を抜けゆけり
- 新緑の落葉松通り仄暗し
- こごみ売る駅舎無人販売所
- 夏来る海辺で開くランチ会
- 梅雨に入る二ヶ寺参りの日曜日
飯塚 佐恵子
- 明易しガザ侵攻の画面操り
- 蚕豆の鞘山盛りに剥きあがり
- 梅雨冷やピアノに映る昼灯
- 花あふち尼僧下りくる雨の磴
- 転ぶ子の泣くまでの間や麦の秋
松尾 龍之介
- かくれん坊身を潜むれば黴匂ふ
- かたばみの花の故郷喜望峰
- 花芭蕉井戸の周りの石畳
- 自らの重みにバラの俯ける
- 風美味し若葉が山に馴染む頃
世古 一穂
- 梅雨寒やくしゃみ一つの傘の内
- 光り出す仁王のまなこ梅雨の雷
- 梅雨晴れ間鼻よりかわく鬼瓦
- 神沼に木魂の鎮む杜若
- 梅雨寒や廊百閒の木目立つ
なかま通信句会 2025年5月
五月作品
7名・35句
原文の出句者欄にある柳篤樹さんの句は収録されていません。
道山 孝男
- 青年の主張そのまま青嵐
- 遅れても威風堂々八重桜
- 人生の中の嬉しさ花疲れ
- 山里を染める夕焼け夏にいる
- 打ち返す波の気だるさ春の暮
萩庭 一幹
- 住み古るや路地の詰まりの瓜の花
- 青嵐海底トンネル潜り来て
- 山法師炭焼窯のそのままに
- 若き日へ会ひに戻りぬ青嵐
- 大寺や甕ひとつ置く蕗の海
渋谷 麻紗
- 観音へ登る回廊風薫る
- 鎌倉の釈迦牟尼佛へ青嵐
- ニコライの鐘の響きも五月かな
- 心字池わがもの顔の残り鴨
- 学問所跡や実梅の当たり年
遠藤 恵美子
- 温泉の貼り紙けふは菖蒲湯と
- 夏夕べ田水にゆるる家の影
- 風鈴に風やはらかく寺の空
- 夏野ゆく今日は真白きスニーカー
- 青あらし社の大樹は動じない
飯塚 佐恵子
- 山笑ふ風のベンチでミニ句会
- お目当てのカフェ満席街薄暑
- 一日の疲れをほぐす夕牡丹
- 天の師へ伝へたきこと桐の花
- 繋がれし山羊の一声青嵐
松尾 龍之介
- 馬術部の厩も北の窓開く
- のどけしやラジオの時報尻上がり
- 燕来る屋根の平らな屋形船
- 花散るや半ば口開け左大臣
- 御手洗の歯朶豊かなり青嵐
世古 一穂
- 神沼の緑へ藤のふぶきけり
- 万緑の底ゆく同行二人かな
- 緑なす山の湖鎮もれり
- 分け入りて青葉の山や光満ち
- 大欅翼休めし暑さかな
なかま通信句会 2025年4月
四月作品
9名・45句
原文の出句者欄にある純栄さんの句は収録されていません。
道山 孝男
- 野は既にパッチワークの花筵
- 春深し風の詩を聴く散歩道
- 青春を甦さする春の風
- 遠足のおむすびはおふくろの味
- 春愁や生きることにも戸惑ひて
萩庭 一幹
- 縄文の野に遠足の手弁当
- 鳥雲に混沌の世を小さくして
- 路地伝ひ花の奥なる毘沙門堂
- 鬼平の架けし大橋花の雲
- 未来にも未来ありきか鳥曇り
渋谷 麻紗
- 旅先の雪にとまどふ四月入り
- 降り癖の花の雨なる西の京
- 遠足の子らに出会ひし飛鳥寺
- 苔の上に紅一点の落椿
- 一途なる花の命を傷みけり
柳 篤樹
- 待花や鳥影薄き里の春
- 長瀞の渦に巻かるる花筏
- 一片を玻璃に名残りの花吹雪
- 生り年や萼の鳶色豊後梅散る
- 遠足の黄色の帽子手を上げて
遠藤 恵美子
- 寺で逢ふ笑顔まぶしき桜人
- 初音聞く村への道は工事中
- お社で記念撮影花の昼
- 能管の一声春の能舞台
- 涅槃西風羽衣を舞ふ能舞台
飯塚 佐恵子
- いつの間に昭和百年春の雪
- 春の雨膝に暦日終刊号
- 江ノ電の車窓に春の水平線
- 熊出たと防災無線青き踏む
- 遠足の弁当へ鳶急降下
安保 富美子
- ごうごうと芽吹く銀杏や墓地の空
- 花辛夷こころの白さ問はれしか
- 初桜ざらつく髪をととのへて
- 彼岸の帰路夫の生地を歩きけり
- 三椏は鈍き日差しに黄をかえし
松尾 龍之介
- 椿落つ苔むす道の水源地
- 踏切のレールの隙間はこべ咲く
- 燕来る川浪荒き日なりけり
- 遠足のリュックの匂ひどれも同じ
- 春めくやカルピス色の走り雲
世古 一穂
- 春光をくるり巻き込む鉄の屑
- うららかや飴屋の指に鳩うまれ
- 遠足の弁当にぎやか桜舞ふ
- 打ち寄せしハングル文字や春渚
- 毘沙門へ極楽橋や青葉光
なかま通信句会 2025年3月
三月作品
9名・45句
原文の出句者欄にある盛人・純栄さんの句は収録されていません。
道山 孝男
- 鳥の声運ぶ窓際桜東風
- 流れたき方に流るる春の水
- 水温む予定ポツポツ入りをり
- 腰軽く動ける朝春兆す
- 道長の月となりたる春満月
萩庭 一幹
- みくまりの律の生るる芹の沢
- 落椿遠流の島の嘆き文
- 日のかけら水面に残し鴨帰る
- 水温み艫綱ゆるむ船溜まり
- 風の階昇り詰めたる北帰鴨
渋谷 麻紗
- 日脚伸ぶ友と長居の喫茶店
- 新宿の不夜城に降る春の雪
- 人声に寄り来る鯉や水温む
- 図書館の窓辺の明かし花ミモザ
- 露天湯や春曙の熊野灘
柳 篤樹
- ポリ袋はためく梢春一番
- 諍いの後の黙やリラの花
- 菜の花や母の唄ひし声のする
- 盆梅の一枝蕾の二つ三つ
- 水温み堰に溢るる光かな
遠藤 恵美子
- 阿波富士のふもとの村の梅祭
- 客を待つ一輪挿しの椿かな
- 一輪の椿手折るを惜しみけり
- 梅林の小道を一人空清し
- 寺参り乙女椿の初々し
飯塚 佐恵子
- 心地よき列車の揺らぎ春の雲
- 放たれる刻へ全山杉花粉
- 山の日に群れゐてひとり節分草
- 下萌や山羊小屋空つぽのまんま
- 水温む鴨羽繕ふ船着場
安保 富美子
- 細胞のひとつひとつに春の風
- 鳴き砂のノスタルジアの春の海
- 春の川心の虚ろ満たしゆく
- 薔薇芽吹く砦のやうな棘に触る
- 残る茣蓙さくら隠しの雪となり
松尾 龍之介
- 春寒し先の削げたる塗りの箸
- 立雛の男雛大きく手を拡げ
- 向こうから視界を過る春の猫
- 白壁を縦に穢して春時雨
- 一点に春日を返す天文台
世古 一穂
- 研ぐ米の指先ほのか水温む
- 春の夜のグラスに指紋うつりけり
- 捨て石に腰を預けて梅日和
- 幼児語ひらひらふゆる蝶の昼
- 水温む鴨の反り身の芸達者
通信句会 なかま
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